日本経年変化協会の会長の徒然日記

『日本のモノ造りは世界トップレベル』一生愛用できる経年変化するアイテムを企画する日本経年変化協会の会長の日記代わりのブログ

答え辛いけど多いご質問

春めいてきましたな。日中は少し汗ばむ程度。

先日リリースしたショルダー・バッグ『Lance~Regular Specification~』

specialite.shopselect.net
昨年リリースして、様々なLeatherで製作して来ましたが、オリジナルLeather『Sel』の企画製作が完成してブランドのレギュラー素材が決定した第一弾で、リリース直後から多くのオーダーを頂き、各色在庫がラスト1個となりました(通販で在庫がラスイチになると、動かなくなるのが不思議ですけどw)。


以前から頂いておりましたが、最近多いご質問


以前から頂いている質問でここ最近オリジナルLeatherの企画製作と相成って増えているご質問。

「アルコタンニンレザーと日本経年変化協会オリジナルLeatherの『Pate』と『Sel』どちらが良いのですか??」

と言うご質問。
双方、僕が企画プロデュースした皮革素材なんで、この質問は答え辛いんですけど(笑)。一言で言うと良い悪いじゃないんですけどね。オフィシャルで応えるような内容でもないので、個人のブログで今回おこたえしておこうかと(笑)。

結果的に分かりやすく自動車に例えて表現すると

「アルコタンニンレザーはオートマ(AT)車。『Pate』や『Sel』はミッション(MT)車。」

って感じです。


アルコタンニンレザーはLeatherアイテム初心者向け素材。
だけど僕の個人的な理想ではなかったので直営ブランドでは不採用


アルコタンニンレザー姫路レザー有限会社から販売しています脱クロム製法を全面に押し出した皮革素材であり、企画プロデュースで参画させて頂きました。

・アルコベーシック(スムースレザー)
・アルコモイスト(オイルレザー)
・アルコシュリンク(天然シュリンクレザー)
・アルコヴィンテージ(茶芯ピグメント)

と4種類を企画させて頂きました。
個人的には皮革素材として販売することに関しては何の問題も無く、広く皮革素材の販売を行う姫路レザー有限会社にとっては完成形でしょう。
しかし、完全に僕が希望したレシピで製作はされていません。当然僕は日本経年変化協会の代表ですから経年変化を存分に楽しめるレシピを希望するわけですが、そこまでのレベルは実現しませんでした。

良い革、悪い革の問題ではなく、僕が企画しておきながら自分の好みではなく万人向けの皮革素材になったと思います。アルコタンニンレザーの特徴は

「誰が使ってもある程度均一の経年変化するレザー。」

ゆえにレザーアイテム初心者には非常に使い勝手が良く楽しいレザーなんです。だから車に例えるとオートマ(AT)車なんです。平均的なスペックになったのはレシピが

・原皮の鞣しの段階で残存しているクロム成分がまだ多い。
・仕上げに溶剤(化学薬品)が多い。

これが要因なんですよね。
車でもオートマ(AT)車両が売れているように、姫路レザー有限会社は皮革販売が本業であるかぎり、万人受けする素材が最適だと思い、現在のアルコタンニンレザーが誕生しました。

Specialite & Entreeブランドは100%僕自身が満足するまで突き詰めた企画のアイテムなので、オートマ(AT)車両ではなく、ミッション(MT)車の皮革素材が欲しかったんです。


『Pate』『Sel』は余計な溶剤は一切使用せず染料とオイルだけで仕上げた。
使い手の使い方によって経年変化は千差万別の無垢の素材


姫路レザー有限会社の企画プロデュースのおかげで脱クロム製法と言う技法のすえに出来上がる皮革の特徴がかなり理解できたので、僕が理想とする皮革素材の企画プロデュースの結果できあがったのが、『Pate』『Sel』だ。これは前述の通り車で例えるとしたらミッション(MT)車だ。アルコタンニンレザーと大きく異るのは

・皮革に残存するクロム成分が極めて少ない(ってかほぼヌメ)。
・仕上げに余分な溶剤(化学薬品)を使用せず染料とオイルだけの仕上げ。

たったこれだけのことですが、出来上がった革は全然質感が異なる。
製品・アイテムにして愛用者の使い方によって経年変化は千差万別となり、オイル・メンテナンスのタイミングや回数だけで異なる経年変化を演出するので、正に愛用者のライフスタイルがそのまま刻み込まれるLeatherと言える。

なので初心者よりもLeatherアイテムがより大好きな人向けの皮革素材。

 

これはLeatherの特徴であり、どちらが良い革、悪い革ではない。

 

ちなみに、ヌメ革の経年変化が良けりゃなぜヌメ革を使わず、脱クロムに拘るのか?と言う質問も多かったので、それは次回ブログで。