日本経年変化協会の会長の徒然日記

『日本のモノ造りは世界トップレベル』一生愛用できる経年変化するアイテムを企画する日本経年変化協会の会長の日記代わりのブログ

地獄の釜が開く日~だからお盆は怖い~

今日からお盆です。職人さんもスタッフも帰省致しました。
僕は生まれも育ちも今住んでるところが地元なんで、帰省とか無いんですけどね。

お盆は毎年思うこと。

「あの世とこの世が非常に近くに感じる日でもあります。」

 幼少の頃からお盆になると「死んだらどうなるのかなぁ~??」考えこんでしまいます。Wikipediaによるとお盆とは

『夏に行われる日本の祖先の霊を祀る一連の行事。
日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事である』

とあります。やっぱり心霊とかの類の行事なんやね。


幼少の頃からビビってきたし不思議な行事

そもそも僕の家は母方も父方も熱心な仏教の家だ。特に母方の祖母は熱心で僕が小さい物心つく時から高野山だの比叡山だの寺に連れ回した。

「死んだらあの世ってもんがあって、閻魔大王の前に連れて行かれて生きてる時に悪いことしてると地獄に落とされて、悪いことしてなければ天国へ行くんやで。」

と真顔で再三となく言われた。お寺には地獄絵とか天国の絵とかあって、寺の坊主も真顔で頷くし、両親に本当か尋ねると「ホンマやで。」言われて幼いながらに頑なに信じた。

お盆はそんな僕には特別な行事だった。
いつも仕事で忙しい父親がお盆は連休だったので、仕事よりも大切な行事だと思った。仏壇を綺麗に掃除し、いつもより豪盛な草花で飾り、線香の香りに包まれ、廻灯路でぼんやりと照らされる仏間はあの世のような感覚を受けた。墓参りで先祖に生まれてきた事を感謝するよ~に言われてた。今だに「今日も元気に生きてます。あっざっす!!」と拝んでるぐらい(笑)。本日もやりましたが、『お迎え火』と言うもの。

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『おがら』と言う太い藁みたいなものを玄関先で燃やす。この火の灯りを目印にご先祖様が帰ってくるそうだ。ちなみに幼少の頃に『おがら』ってなあに??と訊くと

「『おがら』は燃えたら人のお骨に見えるものやで。」

と怖い事を言われた。確かに今思えば火葬の時の光景を彷彿とさせる・・・。同様にお盆の最終日には『お送り火と称して帰宅したご先祖を再びあの世に見送る。


お盆における禁則事項

お盆の間にやっちゃいけない禁則事項があった。

・海や池、川など水辺に近づかない。
・山に行かない。
・虫取りや草花、石を持って帰らない。

だ。子供の頃からファミコン的なゲームが弟は大好きだったが、僕は苦手でセミ取りや魚釣りが大好きだったので禁止されるのは苦痛だった。何故禁止なのか理由を尋ねた。

「え~か。仏祭りをしてもらえない死者や成仏できていない霊は無縁仏と言って、お盆は地獄の釜が開く日で行く宛の無い無縁仏もこの世に降りてきて、水辺に集まったり、虫や山の草花にとり憑く。だから海や川とか山に行くとあの世に連れて行こうとするんやで。」

とメッチャ怖い事を真顔で言われた。その代わりプールは人工的なモノと言うことで何時も忙しい父に連れて行ってもらってプールで水遊びを楽しんだ。

今年も早速ニュースで流れていたがお盆になると一気に水難事故が増えるよ~に感じて、『引っ張られた』んかなぁ~と怖い感覚に囚われながらニュースを見てしまう。


一度だけ禁則事項を破った。それから2度と海で泳いでいない

それから大人になって一度だけ禁則事項を破ったことがある。
26歳の時、学生時代からの釣り仲間に盆休みに和歌山の方へ海水浴に誘われた。お盆だから忙しいと一度は突っぱねたが、女性陣も参加するから皆で海辺でBBQしようと。もう社会人だし、当時気になる女性も参加するとのことで「泳がない。」と言う約束で誘われるがままに参加したことがあった。BBQしながら海が目の前なので皆泳ぐ。泳がない理由を女性からも言われて「この時期はクラゲが居るから。」と訳の分からない理由で断っていた(笑)。気になる女性からも「クラゲいないよ~。おいで~。」と誘われたところで、Hな気分も働き(笑)?禁則事項を破って泳いだ事がある。「な~んて事ないやん。」と安心して楽しい海水浴を過ごした。

でも生まれて初めて、お盆の海の恐怖を知った。ってか思い知らされた。

夕方になったので、そろそろ岸に戻ろうと泳ぐがどんどん沖に流される。泳いでも泳いでも浜辺に辿り着かない。浜辺を見ると仲間達がLEGOブロックの人形サイズになるまで沖に流されている。やばいと焦りが恐怖に変わった瞬間、足首に痛みが走り引きずり込まれた感覚。一瞬の出来事で「サメか??」と思った。沈みながら足元を見ると真っ暗で何も見えなく底がないのかと思った。もがきまくった。人生で初の溺れるって経験。苦しいながらに祖母の「盆に海へ行くな。」と言うことが脳裏をよぎった。祖母の事を思い出した瞬間今度は腕を引き上げられた。海面に浮かび上がって我に返ると服を着たままの知らないオッサンが腕を掴んでいた。

「あんたさっきから何しとるんや!!」

と地元の方で僕がボ~と海に浮かんでいてどんどん沖に流されてるから不審に思って他の方々とボートで向かってくれたらしい。声かけてくれていたけど全然聞こえてないし、ボ~とせず懸命に泳いでいたつもりだったんだけど・・・。

浜辺にあがって仲間達も驚いていた。

それから10年以上経った今でもプールでは泳ぐけど、海水浴は一度もしていない。も~トラウマだね。

 

お盆はやっぱり神秘的な何かを毎年感じさせてくれる行事だ・・・。

長生きしたいな~。